こんにちは、シフォン副社長末広です。
はい、今年も「ゲーム会社、入社前にやっておけばよかったこと~後悔先に立たず2022・秋~」の記事の時間がやってまいりました。
日々後悔と恥の多い人生を送ってまいりました……というと太宰治の小説が始まってしまいますが、このテーマは去年もやっています(2021.11.02 ゲーム会社に入りたい!②実際に役に立ったこと)。なぜ毎年やるかというと、毎年どこかで誰かが悔いているからです。
今この記事を読んでいる方でまだこれから専門学校に入るところだったり、まだ就活年度じゃない方はお早めの就活対策に、もう就活年度を過ぎて新卒社員として内定・入社をひかえていたり、すでに就職しちゃった方も別にいつからでも遅くないので、気づきのきっかけ&心構えにこの記事をご活用いただけたらと思います。
■ゲーム会社への就職前にやっておけばよかった! と後悔していること
最多票:英語
全部署全職業共通ですが、比較的PGたちからの得票が多かったようです。去年も最多票を獲得しています。
・最近は翻訳も進んでいますが、UnityやUnrealEngine等、ゲームエンジンの最新の公式リファレンスを確認しようと思ったりすると全く英語が分からないと拾い読みも大変
・良い翻訳ツールもあるが、英語そのものに慣れていた方が扱いやすいので、もっと慣れておくべきだった
・取引先で英語の会議がある
次点:
ここからは内容がバラバラになっていますが、似たものを集約してご紹介します。
1)もっといろんな種類のームを遊んでおけばよかった
去年は2位の票は割れていなかったのですが、今年は票が割れていました。
・家が厳しかったので、ジャンルによっては買ってもらえなかった/遊ぶ時間の制限が厳しかった/自分が一つをやりこみがちで広く触ってこなかった……など様々な理由があるが、運営・開発時にベンチマークで上がってくるゲームで知らないゲームが結構あって追いつくのが大変
・ゲームに限らず、エンタメやその他のコンテンツも触っておけばよかった
イメージの共有をするのに「作品AのキャラBの家の要素をもっと膨らまして、それでアクションゲームのステージを作りたい!」「魔法少女みたいなUIが欲しい」等やり取りするときに引き出しがたくさんほしい
ゲーム開発者はたくさんゲームを遊んでおくべきかどうか問題
「たくさんゲームを触っておくべきだった!」
この回答は英語よりは少ないものの、こちらも全部署からまんべんなく上がってきました。当初新規企画のチームの人たちの声かなとも思いましたが、受託で制作進行やPMをやる部署からも「他のサービス(商品・ゲーム)と比較する」ことができないと仕事で困ったり、会議で話についていけないので、引き出しを広げたい、という方が多かったです。
なので、実際に遊んでないとやっぱり困ることも多いと思います。
定期的にSNS等でも「ゲーム開発者たるもの、主要ジャンルのゲームは網羅しておくべき!」のような論争にもなっているようです。
じゃあ何本なら許されるのか? ということへの絶対の答えはないと思いますが、これを書いている末広の私見としてはこんなふうに考えています。
・ゲームを遊んでいる本数は、少ないより多い方がいい
特定のジャンルノゲームしか遊んでいないよりは、まんべんなくいろいろなジャンルを遊んでいた方が引き出しは増やしやすいです。しかし、「ただいっぱい遊んだ」だと十分に知識が生かせません。仕事にする場合はそのゲームの内容の分析までできているとなおよし!
ゲームを遊んだ本数より、理解の密度を高める
仮に10本でも1000本でもいいのですが、そのゲームの特徴や、仕組み、使われている技術がどうお客様を惹きつけるかを説明、(または自分なりに)実践できて初めて「そのゲームを遊んだこと」を自分の職能として仕事で活用できることにつながります。
そのゲームの思い出を、自分の力として取り込むというのはそういうことだろうと思います。
ツボがよくわかんない100本より、ひとまず1本から技術・またはゲームデザインの側面からそのゲームを掘り下げてみましょう!
その後、ある程度その1本に理解を深めたら、学生時代のうちにしっかりゲーム構造について説明できるゲームが5、10本と自分なりに本数を広げて持てるようにしてみるといいでしょう。
※ゲームの分析って何ができてたらいいの? という話は長くなるので、
また別の記事でご紹介したいと思います。
2)国語、敬語
こちらも「1)のゲームをもっと遊んでおけばよかった!」と同程度来ています。これも去年に続き、2番目にランクインしていました。
リモートの会社とのチャットベースのやり取りや報告、口頭報告の時に端的に用件を伝えたり、資料の作成、お客様向けのお知らせの作成など、相手に誤解なく、過不足なく伝えようと思うと結構難しいですね。
国語と敬語は日本で生活して仕事している以上、どこまでもついてきます。
学生時代の友人同士や家族との会話であれば、多少表現がザツでも伝わればいいやでOKになるシチュエーションも多いと思いますが、お客様や取引先などは相手の方との距離感に応じた適切な表現を学んでいくことになります。
自分自身も大人になった今でも、迷ったり悩んだり、場合によっては相手の方の置かれている状況をくみ取れず、伝え方がうまくいかなかったりすることはいくらでもあります。
若い方だと経験もまだ少ないので気持ち的にも国語的にも対応が大変だ!と悩むことはごく自然だと思いますが、これに関しては経験と場数によるところも大きいので試行錯誤しながら学ぶしかないですね。一緒に頑張りましょう!
その他の回答:
・プログラム/ゲームエンジンをやっておけばよかった(企画スタッフから)
私自身はゲームエンジンをもっと触るべきだと感じていますが、ゲームエンジンをすでに触っている社員は「いや、エンジンより次はプログラムですね……という風に悩みも進化するんです……。でも、やってないよりは、ゲームエンジン触っててよかったです!」と言っていました。
この辺りは、知れば知るほどやりたいことに対しての足りなさを感じるのかもしれません。
・パソコンをもっと触っておくべきだった
入社前に学校でMayaだけいじってる、ゲームエンジンだけいじって家ではコンシューマー気をメインで遊んでいるというところから始まると、PC自体との親密度が低い状態でゲーム会社に入社するケースは意外と多いのかもしれません。
近年は割と何でもスマホやタブレットでできてしまったり、家庭用の据え置きゲーム機もオンラインコンテンツに対応したりとPCじゃないとできないことが減ってきている傾向にあります。
そういった背景もあり、若い世代から「入社時点でWindowsの基本知識やショートカットなどがわからなくて困った」という声は意外とありました。
入社してさあこれから業務を覚えるぞ!というところで最初の操作からつまずいている、自分がもたついてる!と感じると焦って他の情報が入りづらくなる方もいるとは思うので、気になる方はPCでエクセルやパワーポイントなど、学校で触る機会があれば触っておいて知っておくと安心かもしれません。
とはいえ、この辺りもゲームエンジンやAdobe系のソフトの習得よりは難しくはないので、やっているうちにそれらのツールが分かるような人だと比較的すぐ慣れてしまうかなとは思います。
■やっててよかったこと
最多票:思いつかない、特にないかもしれない
そ、そんな……。
ネットスラング的な表現で恐縮ですが、完全に理解した→何もわからん となるものでしょうか。
(何もわからん、という人は大体ものすごく学習をされているのかと思いますが……)
意外なことに、特に開発・技術系の社員に目立つ回答でした。
君ら、今のツールも触り慣れてるし、プログラムとかデザインとかいろいろできるじゃない!何でよ!と思っていましたが、少しできるからこそ、その上のレベルのことができるようになりたいと思うと果てしなく感じる瞬間があるようです。
次点:
1)脚本やライター仕事、個人の創作活動で、お客様に対して販売や金銭が発生するもの
国語の問題とはまた別の観点で、お客様にお出しするものを作るというのはどういう状態じゃないといけないのか、を理解するきっかけになった
2)専門学校時代のチーム開発、他職との制作経験
他職とのやり取りを学んだ
その他の個別回答でも「さまざまなインディーゲームを遊んでいて、より多様なゲームの引き出しができた」「仕事以外でのアニメや漫画、コンテンツをきっかけに仕事仲間と話せた」など趣味の延長で仕事やコミュニケーションに役立つようなものもあります。
この辺りは「その中でも特にナニがウケがいいんですか?!」みたいなご質問もたまにいただくことがありますが、そういう形で直接自分の趣味や遊びをスキルにすぐ換金・コスパだけを重視で何かしようとすると厳しいかなとは思います。
コミュニケーションは基本的に相手と(それがビジネス上のものだとしても)よい関係を築くことが目的なので、「それ用」に対策されている方に話を無理に合わせられるの、少しイヤじゃありませんか? 心から好きじゃないものの話を「俺それ知ってます」というだけでお話しされてしまうと、「好き100%で楽しんでいる人」と「あくまでもその場をうまく生きるためにやっている人」だとどこかで話が合わなくなってくるところがあるので、この辺りは「基本的には本当にご自身の好きなもの」を大事にするのがよいでしょう。
また、ツール系もへの意見も来ています。
・HTMLやPhotoshop、Adobe系のソフトを趣味で触っていたので、その後の仕事で理解が早かった
・FBXの仕様の理解(PGからの回答)
デザイナー職と制作仕様を決める際の相談で、最初に制作方針や使う環境の指定などのやり取りをする必要があったが、FBXの仕様を知っていたので比較的すんなり決めることができた。
若干状況は限定されてきますが、開発チームの社員だと「本職で触っているツール以外のツールや技術の知識」に親しんでいたことで業務に入るときに入りやすいことも多いと思います。
まさか会社でそんなに使うことになると思わなかったな、という趣味からのスタートしたスキルも様々回答がありましたので、もし今何か趣味がある方がいたら、学校に差しさわりがない範囲で一回はどっぷりつかって極めて何ができるか、そういうチャレンジを一度してみるのも商品やサービスづくりで役に立つ経験になるかもしれません。
さて、分量が多いので駆け足でのご紹介でしたが、ぜひ目についた何か、ご自身の中で気になったところ1つでいいので、何かしら試してみていただけたらと思います。
それではまた何かの記事でお会いしましょう。